・赤ちゃんが色黒だ。
・赤ちゃんのうんちの色が薄かったり、白っぽい。
・赤ちゃんの白目の部分が黄色っぽい。
このような症状は黄疸の赤ちゃんによく見られる症状です。
赤ちゃんの黄疸は、
胆道閉鎖症が原因の場合があります。
これは、胆道が閉鎖されていることにより、
胆汁の排出が不十分で、肝臓の中に胆汁が溜まって(うっ滞)、
肝臓の線維化が進み、肝硬変、肝不全となる恐れがあります。
しかし、難しいのは、この胆道閉鎖症による「黄疸」は、
「
新生児黄疸」や「
母乳性黄疸」と見分けがつきにくいのです。
「新生児黄疸」や「母乳性黄疸」とはなんでしょうか?
赤ちゃんがまだ母親の体内にいた時、
胎盤を通して酸素を取り込むために沢山の赤血球を必要とします。
しかし、赤ちゃんが産まれて、自力で呼吸を始めると、
肺から酸素を取り込めるようになるので、
それほど赤血球は必要なく、余分な赤血球は破壊されます。
そして赤血球が破壊される時に「ビリルビン」が出ますが、
肝臓の働きがまだ未熟なので排出されず、
血液の中に溶けこみ、皮膚が黄色味をおびて、黄疸となります。
これが「新生児黄疸」と呼ばれるものです。
これは生後2日~4日にかけて見られます。
大抵の赤ちゃんは、肝臓が動くようになり、徐々に黄疸が引きますが、
あまりに黄疸の数値が高いと、
核黄疸といって、脳に損傷をあたえるので、光線療法や交換輸血で治療をします。
「母乳性黄疸」は「新生児黄疸」とはまた別のもので、
母乳を飲んでいる赤ちゃんに出ます。
母乳の成分に含まれる脂肪酸には、
ビリルビンを水溶性に変える酵素の働きを抑制する働きがあります。
(ビリルビンを水溶性に変えることによって尿から体外へ排出します。)
その為、母乳を飲んでいる子は、
生後一週間から一ヶ月にかけて、黄疸が出やすくなっています。
長引くときは生後二ヶ月まで黄疸が続く場合もあります。これが「母乳性黄疸」です。
母乳性黄疸は特に治療の必要はないのですが、
胆道閉鎖症や肝臓疾患からくる病的黄疸となかなか見分けがつきにくいのです。
黄疸は肌の色だけに出るわけではありません。
黄疸の色のもととなるビリルビンが血液によって体内を駆けまわるので、
白目の部分が黄色くなること(黄染)があります。
また、尿にビリルビンが排出されるので、尿が黄色くなることもあります。
オムツなどに付いた尿が時間が経過した後、うっすらと茶色っぽくなっていたり、
黄色くなっていた場合は注意が必要です。
普通なら、赤ちゃんの尿はほぼ無色透明です。
ただし、脱水気味の時は尿の色が濃くなりますのでご注意下さい。
また尿の色で代謝疾患・腎臓疾患が分かる時があります。
おかしいと思った場合はかかりつけの小児科医に相談してください。
では、どうやって「母乳性黄疸」と「病的黄疸」を区別するのでしょうか?
それは採血です。
採血して、直接ビリルビン(D-Bil*)の数値を測れば、
病的黄疸か母乳性黄疸かがある程度わかります。
直接ビリルビンの数値が高いと、肝臓・胆道系疾患が考えられるからです。
ただ、残念ながら生後まもない赤ちゃんを採血してくれる医師はなかなかおられません。
黄疸が長引き、それが不安で小児科医を受診しても、
大抵は「母乳性黄疸です」と言われて、
「もう少し様子を見ましょう。」と帰されることが多いと思います。
肝ったママは、黄疸が長引き、ウンチの色が薄いと感じた場合は、
「ウンチのついたオムツを持って受診してください」と呼びかけてます。
黄疸だけでは「母乳性黄疸」と判断されることが多いですが、
これに「ウンチの色」が怪しい?となれば、
小児科医は「胆道閉鎖症・新生児肝炎」を念頭に診察してくださる可能性が高まるからです。
黄疸は毎日見慣れてくると、なかなかわかりにくいのですが、
産院での健診の時などに、
他の赤ちゃんと肌の色を見比べてみるのもいいかもしれません。
生後一ヶ月から三ヶ月の間にかけて、黄疸が2週間以上続き、
なおかつ、薄い色や白っぽい色のウンチが続いている場合は、
「ウンチのついたオムツ」を持ってかかりつけの小児科医を受診してください。
黄疸の治療としては、
・光にあてる。
・外出して日光浴する(ただし、新生児に合わせた時間内で)。
・病院で光線療法。
が挙げられます。
数値がある程度以上に上がらなければ、治療も必要ない場合が多く、
放っておいてもそのうち治る場合もあります。
ビリルビンの分解に、骨の成長に、皮膚の殺菌に、紫外線が有効なので
日光浴が一番自然な治療法になるようです。
母乳をあげていると、先程述べたように黄疸と母乳性黄疸の区別が
付きにくいので、母乳育児を否定する意見もあるようですが、
母乳そのものには、人工ミルクにはない栄養たっぷりなものがあるので、ママが母乳をあげられるうちは、積極的に母乳を
赤ちゃんにあげてもよいでしょう。
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